健康のための栄養学を学ぶにあたって、まずは皆さんが学生の頃に習ったであろう「5大栄養素」についてお話していきたいと思います。
【栄養学の基礎】五大栄養素
炭水化物
「糖質」と「食物繊維」にわかれています。炭水化物は、1gあたり4kcalとしてエネルギー計算します。
糖質
脳や体を動かすためにエネルギー源として利用されるものをいいます。
「炭水化物」と「糖質」は同じ意味合いで使われたり、「炭水化物(糖質)」や「糖質(炭水化物)」と表記されていることもあります。
必要以上に摂ると脂肪として体に蓄えられます。でもだからといって、摂らないと脳が働かなくなってしまいます。最悪仕事や生活に影響をきたしますので、適量を食べるようにしましょう。
食物繊維
ヒトの消化液では消化されない成分で、野菜に多く含まれています。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と、「不溶性食物繊維」が存在します。
(食べた時に口に残る繊維は、不溶性食物繊維ですよ)
たんぱく質
筋肉、血液、皮膚、髪の毛、爪、ホルモン、酵素のもとになります。
たんぱく質は、1gあたり4kcalとしてエネルギー計算します。
たんぱく質は、約20種類のアミノ酸がペプチド結合してできています。アミノ酸は、「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」に分かれます。体内で合成できない、もしくは十分な量をつくりだせないために食事から摂取しなければならないものを「必須アミノ酸」、体内で作りだせるものを「非必須アミノ酸」といいます。
脂質
細胞膜の成分となったり、脂溶性ビタミンの吸収をよくするなどのはたらきがあります。
水に溶けないという特徴があります。脂質は、1gあたり9kcalとしてエネルギー計算します。
また、動物性食品やスナックなど菓子に多く含まれる「飽和脂肪酸」は、摂りすぎると動脈硬化などの病気になる可能性があります。(逆に摂取不足だと脳出血を招きますのでほどほどに摂りましょう)
「不飽和脂肪酸」と呼ばれる中には、青魚に含まれるEPA(IPA)やDHAなどがあります。EPAは中性脂肪を低下させて、動脈硬化予防に効果があるといわれています。DHAは記憶力、学習能力の向上に効果があるといわれています。
ビタミン
代謝を助けたり、体の機能を整える働きがあります。
ビタミンは、「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」に分かれます。
水溶性ビタミンには、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン(ビタミンH)があります。
水溶性ビタミンは水に流れやすいので、スープにしたり、煮ないで蒸したりするのがいいでしょう。
脂溶性ビタミンには、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがあります。
脂溶性ビタミンは、脂と一緒に摂ることで吸収を高めることができますので、炒めたり揚げたりして調理をすることがおすすめです。
ミネラル(無機質)
ビタミンと同じく、体の調子を整える栄養素です。
過剰にとりすぎても、不足しすぎてもどちらでも体に害があります。場合によっては不足することで抑うつのような、メンタル不調のような症状がでることもありますので適量摂取しましょう。
カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素、コバルトなどがあります。
どれぐらい食べればいい?あなたに必要な量
自分に必要な量を知るために知ってほしい指標をご紹介します。
四群点数法
食品を栄養素の特徴別に4つのグループ(食品群)に分け、各グループの食品をどのくらい食べたらよいかという食事のルールをわかりやすく示したものです。(四群点数法)女子栄養大学の創設者である香川綾先生が考案されました。
<合わせて読みたい!>
食事バランスガイド
1日に、「何を」、「どれだけ」食べたらよいかを考える際の参考にしていただけるよう、食事の望ましい組み合わせとおおよその量をイラストでわかりやすく示したものです。農林水産省が策定しています。
(引用元:農林水産省「食事バランスガイド」)
日本人の食事摂取基準
本格的に詳細まで知りたい方向けです。
「食事摂取基準」は、健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために、どのくらいの量の栄養素を摂取すればいいかを示したものです。厚生労働省が5年ごとに策定しています。「どうしてその量必要なのか」といった背景も詳しく書かれているので、読むには時間がかかり難解だと思います。最後のほうのページに、性別、年代別の摂取量が表になっているので、まずはそれだけ見てみるのでもいいと思います。栄養素別の解説なので、それらの栄養素が多く含まれている食品はたとえば何があるのかを、追加で調べてみるのも楽しいかもしれません。
栄養士・管理栄養士は、食事摂取基準をもとに栄養指導、栄養バランスの判定を行っています。(栄養士の世界を覗いてみるのも楽しいかも…?)