「HSP」という言葉をご存知でしょうか?
これは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略で、「とても繊細な人」の意味として最近世間に認知されるようになった言葉です。
こんな方に読んでほしい!
・人の気持ちを察してしまう
・気を張って疲れてしまう
・生きづらさを感じている
HSPは、5人に1人にあてはまるといわれています。
他の人に比べて日常の中でいろいろなことをセンサーがキャッチしてしまう分、つまりインスピレーションを得られやすい分、疲れやすかったりしてしまうんです。
そんなHSPの方が仕事選びをする際に重要視してほしいことを書いていこうと思います。
自分に合った仕事って?
「心地いい」と思う環境に身を置くこと。これに限ると思います。
仕事の内容、人間関係、環境すべてに対して言えます。
HSPの方は、辛い場合でも「まだ大丈夫」と言い聞かせてしまうことが多く、知らないうちにうつ病まで悪化させてしまっていた、ということが少なくありません。
自分よりも他人を優先しがちなので、自分の体調の変化に鈍感だったりします。仕事の内容は向いていたとしても、人間関係や環境が合わない場合は、職場を変えてみるのも一つの手です。逆に、仕事の内容はピッタリとは言えなくても、環境が良ければ負担を大きく感じずに続けられることもあります。
なにか体調や精神面で「違和感」や不安定さを継続的に感じていたら、あなたに合わない環境なのかもしれません。もし上司への相談で改善できそうならしてみて、それでも変わらなそうなら他の選択肢を考えてみるのがいいかもしれません。
決して「自分の努力が足りないことが原因だ」と自分を否定したり責めたりしないようにしてくださいね。
仕事内容…自分の興味のある内容にしましょう
興味のあることは、続けられます。
「続けられる」ということは、「あなたの才能がある分野」ということです。
興味のある分野であっても、割り当てられる仕事内容によって向き・不向きがかわったりもします。
例えばわたしはIT企業に勤めていましたが、営業・開発・保守・コンサル・カスタマーサポート・経営・人事・総務など様々な部署がありました。また、商品も顧客によって全く変わってきます。ITに興味があっても、どんな分野なのか、また、所属する部署、対応顧客によって全く違った仕事になります。仕事をすすめていくなかで上司や人事に相談しつつ方向性を決めていくのがいいでしょう。
ただ、大きい企業であればあるほど、自分の意見はなかなか通りづらいところがあります。もしやりたいことが具体的に決まっている場合は、大企業よりも中小企業ではたらくほうが実現しやすいかもしれません。
興味がある仕事がわからない場合
「興味のあること」が見つからない、わからない…ということもありますよね。「本当にやりたいことなの?」と聞かれて、確固たる自信をもって「Yes!」と答えられる人は案外多くないと思います。(もちろん天職に恵まれる人もいます)
見つからない場合は、無理に答えが出るまで考え続けたり待つのではなく、「出来そうなこと」「続けられそうなこと」に目を向けることも一つの方法です。 「今すぐに、やりたいことをして生活費を稼ぎなさい」と言っているわけではなく、長い目を持って良い方向へ進んでいけるようになってほしいなと思います。自分に出来そうなことをしつつ、「好きかもしれないこと」「やってみたいこと」にも時間を充ててみるのがいいのではないでしょうか。
「やりたいことを見つけなきゃ」といった、焦りや余裕のない気持ちで決めたり取り組んだりしても、望んだとおりに物事が進むとは限らないですし、あまりいい結果は得られないように思います。焦る気持ちはわかりますが、じんわりと心のどこかで余裕をもったうえで希望を持ち続けてほしいなと思います。
HSPの方に向いていそうな仕事
・コツコツと自分のペースで進められる仕事
HSPの方は変化に敏感なため、仕事内容は落ち着いて自分のペースで進められるものがいいと思います。適度に周りに気を配りつつ、丁寧に仕事をすすめる力もあるので、サポートするような仕事も向いていると言えます。事務、データ入力、執筆ライター、プログラマー、その他専門職などが挙げられます。
・洞察力を活かす仕事
変化を読み取る力があるので、洞察力を活かす仕事が向いています。
相手の心情をくみ取り、実情に沿った的確なアドバイスができる長所があります。例えば個別指導の塾講師、家庭教師、心理カウンセラー、占い師等が挙げられます。
HSPの方に向いてなさそうな仕事
・回転のはやい対人仕事
対人の仕事は変化が多く、刺激が多いので疲れやすいです。特に自分に裁量権がなく判断を仰ぐ形になる仕事だと、正解がない分いくらでも考えてしまい落ち込むなど感情が振り回されやすくなります。営業、テレフォンオペレーター、接客業等が挙げられます。
・責任の重い仕事、シフト出勤の多い仕事
責任の重すぎる仕事やシフト出勤など生活リズムが崩れるような仕事、ハードワークは避けたほうがいいでしょう。自律神経のバランスが崩れて抑うつ症状が出る原因になります。(もしも「挑戦してみたい!」と思える仕事内容であれば経験してみるのもいいと思います。ただし無理は禁物ですよ。)
アンケートモニターのようなコツコツ作業も向いているので、副業として始められてもいいと思います。
人間関係…心地よい場所をさがしましょう。
忘れがちな大事なポイントですが、「居心地のよい人間関係をつくるには、あなた自身が素の状態で接する」ことから始めるようにしましょう。
HSPの人は、自分の心の声よりも相手の感情を優先しがちです。ですが「相手にとって都合のいいような仮面」をかぶった状態でコミュニティをつくりあげている可能性があります。ですが、そのような関係性では、あなたが消耗してしまいます。誘いやお願いを断ることもしてもいいんです。あなたの想いを大切にしましょう。
環境…あなたにあった環境を選びましょう。
これは、職場の立地、オフィススペース、服装などの、あなたの周りの環境のことすべてをいいます。
たとえば、混雑した電車に乗るのが苦手であれば、電車にのらずにすむ職場や、混雑していない電車(方面)の職場を探しましょう。
スーツを着るのが嫌だという方は、オフィスカジュアルや私服でもOKな会社や、作業着のある会社がいいでしょう。
そのほか、職場の明るさが苦手であれば、ブルーライトカット眼鏡をしたり、音が苦手であれば、耳栓をしたりするなど工夫をできるところはしてみましょう。人の目線が気になるならば、何か「壁」となるようなものをたてて自分のスペースを確保できるようにするといいですよ。
わたし自身、おそらくHSPに分類されます。
聴覚、視覚からの刺激に特に過敏です。
総合職として働いていたの職場では、キーボードを打つ音、ワンコールでとらないといけない電話音、上司の足音、怒鳴り声などピリッとした空気に心臓をしめつけられているような思いでした。
PCのディスプレイの明るさは極力小さくしたうえで、ブルーライトカットの眼鏡をしてやっと一日の仕事ができました。
「自分に合った環境」の見つけ方
「自分に合った環境」は、あなたにしかわからないことです。
まずは、どんな刺激は苦手なのか、普段の日常生活でアンテナをはって気づくことからはじめてみましょう。
大事なことは、「あなたの心の声に耳を当てる」ということです。
世間からみて「これが普通だ」という声は聞かないようにしましょう。自分の声に正直に、あなたの落ち着く環境を探していきましょう。決して「自分の努力が足りないから、うまく仕事ができないんだ」と思い詰めないことです。たまたま相性がよくなかっただけです。
「繊細さ」は気難しい面もありますが、居場所を見つけて腰を落ち着ければ、すくすくと誰よりも大きく成長していける強さがあると思います。繊細さは個性です。治療をしなければならないものではなく、繊細だからこそ生み出せるものがあると信じています。
自分の声を聞いて、あなたの輝ける場所を探しに行きましょう。