うつかて -うつを糧にいきていく-

栄養士による健康のためのストレスセルフケア

家族や恋人がうつ病になったときの接し方【メンタルヘルス基礎知識】

家族や恋人がうつ病になってしまい、どう接するか悩まれている方へ

 

うつ病だった当事者から見て、うれしかったことを書いていきます。

 

参考になるところがあるとうれしいです。

家族や恋人がうつ病になったときの接し方

うつ病の症状 

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まずは、うつ病の症状からご説明していきます。

うつ病では、否定的な感情に支配されたような思考状態になります。自分を信じられなくなって誰か頼りたくなることもあります。そのため、以下のような症状がでますが、これは病気の症状であり、症状が落ち着けば人並程度に戻ります。あくまで一時的なものだとご理解ください。

 

うつ病の症状例

①否定的な思考になりがち

②ネガティブな発言をしがち

③依存的に見える

 

うつ病は、こころのエネルギーが枯渇してしまっている状態といえます。

例え趣味を多く持っていて、こころのエネルギーを毎日補充していたとしても、それ以上のストレスや負荷が継続的にかかると、全体量は減っていってしまいます。

仕事やプレッシャーなど、大きな負担がかかるものを一生懸命に背負ってきた結果なのかもしれません。もしかしたら周りの人を助けたくて、自分よりも周りを優先して必要以上に背負ってきたのかもしれません。

うつになるタイミングは、(個人的な意見ですが)大きな仕事に区切りがついた後が多いように思います。ホッとしたタイミングで、今までアドレナリンなどでごまかしてきた疲労がどっと押し寄せることで発症しているように見えます。

つまり、「よくやったね、お疲れさま」と言って休んでもらう状態なのではないかなと思います。

傍から見るとただ心が弱い人に映るかもしれませんが、何もない中で発症するのではなく、ひたすらにストレスに抗ってきた後に疲労困憊で発症しています

 

しかし本人に全く問題がないかというと、そうではないこともあります。

うつ病になる人は、自分の声に目をつぶりながら周りに与え続けていた人です。

うつ病になったことで、自分の限界範囲を理解してもらわないといけません。どこまで自分は対応できるのか、どこからが無理をするラインになるのかを今後は理解して行動していく必要があります。周りと自分のバランスをとっていかないとまた同じことを繰り返してしまいます。

場合によっては、断る・調整をお願いする・周りに助けを求める・その環境から逃げるなど、意思表示が必要です。周りも精一杯で協力し合えない環境でどうにもこうにもいかないことがありますが、毅然とした態度で意思表示することが大切です。

うつ病になってしまうと、「自分の能力が足りないせいだ」と自責しがちで、「でもそんな現実は受け入れたくない」と、相反する考えで苦しみ歪んだ認知状態になっていきます。やることを一生懸命やってどうしようもなかった状況なのだからと、うまくいかない現実を本人が受け入れることが最初の一歩なのかと思います。

 

あなたに気を付けてほしいこと

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 接するうえで、あなたに気を付けてほしいことがあります。

 

気を付けてほしいこと

①あなたが頑張りすぎないこと

②こころのエネルギー充電をさせてあげること

③予定には余裕を持たせること

④存在を認めてあげること

⑤PTSGを信じること

 

①あなたが頑張りすぎないこと

人には本来「自己治癒力」が備わっています。時間をかければ本人のチカラで快方へむかいます。

「早く治してあげたい」「見ているのが辛い」と焦ったり不安になる気持ちもわかりますが、どうしても人間なので人により回復に時間がかかることもあります。あれこれ薦めるよりも、本人のペースに合わせて動きだすまでそっと近くで見守るくらいの姿勢がいいかと思います。

周りの援助を借りながら適度な距離を保つことがポイントです。うつ病では精神不安定で感情のふり幅が通常より大きくなります。悲しい出来事を「この世の終わりだ、もう人生終わりだ」と考えたりして盲信的で極端な考えをしてしまう傾向があります。全身で受け止めようとすると、不安定な波に振り回されてどうしても次第にあなた自身が疲弊してしまうでしょう。

医療機関では医療のプロがサポートをしてくれますし、リワークプログラムのように同じ病気で苦しむ人と一緒に職場復帰に向けた医療プログラムもあります。カウンセリングで認知行動療法を学びセルフケアを学ぶ方法もあります。地域の福祉センターでは相談会を開いていることもあります。適切に周りの機関を頼りながらサポートしていきましょう。

 

②こころのエネルギー充電をさせてあげること

自然の豊かなところへ連れていったり、おいしい食べ物を食べたり、楽しく安らげる時間を一緒に過ごすなどするのもいい過ごし方です。

うつ病は休むのがいいのではないか」と一般的に思われていますが、ただ横になって過ごしているだけでは実は休まりません。症状改善のためには、心の充足感を感じることが大切です。美しいものを見て感動したり、こころを許す人と一緒に話して笑ったり、スポーツをして筋肉を動かしたり、たっぷり眠ったり栄養バランスのいい食事をとることなどで少しずつエネルギーの充電ができます。

何でもいいので本人が楽しめることを見つけて、心身整えて栄養をつけることができると、快方へ向かうきっかけになります。

 

③予定には余裕を持たせること

メンタル不調では、体調が不安定になりがちです。楽しみにしている予定だとしても当日になってパニックや動悸などをおこし、体調が急変してしまうということがあります。

本人は無理をしても約束を守ろうとするかもしれませんが、無理をした反動で数日間寝込んでしまうことがあります。

「体調次第で断ってもいいよ」と事前に伝えておくと安心できるでしょう。また予定は詰め込まずに、余白時間をつくったり、予定を絞ったり複数日に分けるなど、余裕のある計画にするといいです。

突然の不調(パニックや動悸など)が起こった場合に備えて、事前に居心地のいい環境、相手の好む空間を聞いたり調べたりすると対処しやすくなります。(広めの公園で気分が落ち着くまで休憩する、等)

 

④存在を認めてあげること

メンタル不調では、自身の存在意義を見失いがちです。

「存在してくれているだけでいい」「あなたは頑張ってきた、わたしの誇りである」という気持ちを伝えてあげるといいでしょう。

本人の負担にならない範囲・程度で家事炊事などちょっとしたお願いごとを頼んでみるのも、本人が「自分は役に立てている」と思えるきっかけになります。

「外で買い物をしてくる」などは決断すること自体が難しくなる急性期には向いていないかもしれません。家の中でできる範囲から始めてみるといいでしょう。(花の水やり、掃除等)

 

⑤PTSGを信じること

「PTSG」とは、「Post Traumatic Stress Growth:心的外傷後ストレス成長」のことをいいます。

「痛みを知って強くなる」または「失敗から学び、次回に生かす」という言葉が近いです。メンタル不調を患っている最中は、暗くてよくない面ばかりですが、回復後はより大きな人間性を持って立ち直ることができると希望を持って信じてあげるといいでしょう。

 

まとめ

基本的には、うつ病になった本人主体として、ゆっくりと回復を待つののがいいと思います。サポートをできるところはする、無理に元気づけたりしないなど、介入はなるべく控えるといいと思います。

いままでごまかしながらやれてきたことでも、なにかのきっかけで大きく爆発してしまうことがあります。それがうつ病です。本人が自分自身と向き合う時間として、人生を長期的なスパンで見ると必要な時間なのかもしれません。

きっと快方へ向かいます。時間が解決してくれることがあります。根詰め過ぎず、相手を信じて待ってあげましょう。

 

※個人的な感想ですが、豆苗を買ってきて育てるのが簡単で楽しいのでオススメです。

毎日1~2回の水換えで1週間ほどで収穫できますし、室内で育てられます。植物の生命力に触れられて、栄養豊富なので身体にもいいです。眺めるのが毎日の楽しみになります。うつ病は、希望がないと思い込んでいる日々なので少し気分転換になると思います。